アルンダティ・ロイ、シドニー平和賞を受賞

Arundhati Roy

Arundhati Roy collects Sydney Peace Prize
 本年度のシドニー平和賞を、『小さきものたちの神』[Amazon]で英ブッカー賞を受賞した作家で、人権活動家としてナルマダ*1・ダム問題などに取り組んでいるインドの作家アルンダティ・ロイ*2が受賞。ロイの著作は『誇りと抵抗: 権力政治(パワー・ポリティクス)を葬る道のり』[Amazon] / [bk1]や『帝国を壊すために: 戦争と正義をめぐるエッセイ』[Amazon] / [bk1]などが日本でも翻訳されている。
 シドニー平和賞*3を受賞。シドニー平和賞はシドニー市やシドニー大の後援でつくられた、現在のところオーストラリア唯一の国際平和賞。1998年からはじまっており、これまでの受賞者はグラミン銀行創立者ムハンマド・ユヌス、ノーベル平和賞も受賞した南アのデズモンド・ツツ大司教東チモール独立運動シャナナ・グスマン(後に初代大統領)、元オーストラリア総督ウィリアム・ディーン卿、前国連人権高等弁務官メアリー・ロビンソン、パレスティナの学者で人権活動家ハナン・アシュラウィ博士、そしてロイである。ここ3年は女性が独占している事になる。

*1:インド中部を1300キロにわたって西進し、カンベイ湾に注ぐ大河。ナルバダ(Narbada)川とも。インド人が聖なる川とあがめる大河のひとつ。初代首相ネルーによって着手された大規模なダム群計画があるが、環境影響や地域の先住民の移転問題などで紛糾し、インドで最も議論を呼んだダム計画となった。1990年、問題の大きさを認めた世界銀行が融資計画を撤回したが、現在でも計画は徐々に進行しており、インド内外の反対運動も活発に行われている。

*2:インド南部の作家、批評家。『小さきものたちの神』で英ブッカー賞受賞。インド南部のケララ州出身のシリア教会キリスト教徒の母と、ベンガル出身のヒンドゥ教徒の父の間に生まれる。生まれはメガラヤ州だが、幼少期はケララ州で過ごす。建築を学んだ後、女優や脚本家などを経て『小さきものたちの神』を執筆。同時に平和運動反核運動ナルマダ・ダム開発に対する反対運動でも知られ、グローバリゼーションの問題についての多くのエッセイを執筆している。http://en.wikipedia.org/wiki/Arundhati_Roy

*3:http://en.wikipedia.org/wiki/Sydney_Peace_Prize