毎日新聞の世論調査によれば、ブッシュ再選を「よかった」とする人が50パーセントで、良くなかったの26パーセントを大きく上回ったそうな。ウェブ上でも民主党は日本バッシングをするからということで共和党支持だ、という人もよく見かける。倫理的なものを脇において考えれば、確かにブッシュはバブル以降初めてといえる国際的なプレゼンスを日本に提供しているという面はなくもない。しかし、そのために払わされるコストが高すぎやしないか? イラクやアフガンにおけるばく大な戦費負担と、欧州や南米に見られる「アメリカ離れ」は、戦費の肩代わりやドルの下落という形で日本経済に負担を強いるわけで、一過的な(しかもブッシュの言うことを聞く限りという条件付きの)プレゼンスに払うには大き過ぎる対価であるように思われる。それにクリントンが目指したのは日本叩きじゃなくて、日本の市場の合理化であって、あそこで上手く老害を排除できていれば、日本の社会ももっとまともだったかもしれない、とは思わないかね(まぁ、それってグローバリゼーションですが…)。

 ザルカウィ、イギリス人人質の釈放を要求

'Zarqawi' call to release Hassan
 ザルカウィのグループとされる「イラクアル・カイダ」を名乗る声明が、イラク帰化したイギリスの人権活動家(CAREインターナショナルのディレクター)マーガレット・ハッサン(同時に英国とアイルランドの国籍を有する)の解放を要求。自分たちに引き渡された場合は速やかに解放するとしている。声明は、真のイスラムは女性と子どもは殺さないものだと主張し、また自分たちは自分たちと闘っており、我々の人民を殺しているものだけを殺している、と主張している。

 やや真面目に大統領選考察

The Values-Vote Myth
 コラムニストのデヴィッド・ブルックス氏のコラム。ケリーの敗因は複雑であり、それをモラル・ヴァリューだけに帰するのは間違いであると主張。特に、ブッシュが福音派の大動員を成功させたというのは神話であり、むしろマサチューセッツやニューヨークのような民主党支持集で2000年の選挙より共和党支持が増えている理由に注意を払わなければ行けないと主張(保守的と言われる集では必ずしもそうではない)。価値の分断はあるとしても、それは「信仰、リーダーシップ、個人主義アメリカ例外論*1、郊外(郊外居住者)、ウォルマート、礼儀、経済的機会、自然法、男らしさ、ブルジョワ的美徳やシオン、その他の問題を含む」複雑な問題なのであって、民主党の支持者であるリベラルがほとんど、ブッシュへの投票者を単純化して、そういった問題について田舎に出かけて議論した経験を持たないのは残念な事だ、と述べている。
Open Letter To The Democratic Party: How You Could Have Had My Vote
 ブッシュに投票したという南部に住むヘテロで、年収約30,000ドルの大卒独身女性を名乗る匿名の投稿。自分はケリーが訴えかけるどころか、その存在すら信じなかった「南部に住む中道の有権者」であると訴えている。
 つまり、クリスチャンだが教会には行かず、ゲイの友人もおり、中絶という言葉には拒否感があるがレイプされた友人が出産を余儀なくされて苦労している事は知っている。イラクの子どもたちの写真には涙するが同時に戦争はあの段階で与えられた情報の中では正しかったと信じている。オニオン*2『ディルバート』Salon.com*3も読むし、深夜から『ハリー・ポッター』の新作*4のためにならんだ。もし買えたとしてもSUV車を買う気はないし、リサイクルだってしている。ウォルマートで買い物をするが、それには良心の呵責を感じるし、もし彼らが組合をつくることができれば、自分はピケを越えない。FOXが片方にゴリラが乗ったシーソーと同じぐらいバランスの取れた報道をしている事だって知っている。
 筆者は、もしケリーなり誰かなりが次に我々の票を得たければ次のような事が必要であると考えている。もっと態度をしっかり決める事やアメリカのために主張する事(特にテロリズムに関して)、ドイツやフランスが何を言うかなど気にしないこと、豊かになる唯一の方法が「だまし取る事」だけであると触れて回らない事。大統領が尊敬できないとしても、丁寧に扱う事。そして最も重要な事は、これ以上筆者たちを罵らない事、だという。
 …どうでもいいけど、ウォルマートが鍵ですか、やっぱり(笑。

*1:『アメリカ例外論』参照

*2:時事ネタを扱う風刺新聞

*3:反ブッシュの急先鋒グレッグ・パラストなども寄稿しているリベラルな独立系ニュースサイト

*4:アメリカでは子どもたちを魔術的、異教的なものへ引き寄せるとして同シリーズを非難するキリスト教勢力がいる。彼らにかかるとNintendoもディズニーも悪魔の使いである