トーマス・フリードマン新作

Why the World Is Flat レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体〈上〉
 ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、『レクサスとオリーブの木: グローバリゼーションの正体』などの著作で有名なフリードマン*1の新作、"Why the World Is Flat"に関するインタビュー。Wiredがニュート・ギングリッチなどの保守系の論客を相手にすると、インタビューは面白い。「世界は平ら」(World Is Flat)という言葉は、最近フリードマンが取材に力を入れているインドIT産業の雄、ウィプロ社の社長の言葉から来ているらしい。
 曰く、I've been a critic of the antiglobalization movement, and they've been a critic of me, but the one thing I respect about the movement is their authentic energy. These are not people who don't care about the world. But if you want to direct your energy toward helping the poor, I believe the best way is not throwing a stone through a McDonald's window or protesting World Bank meetings. It's through local governance. When you start to improve local governance, you improve education, women's rights, transportation.(僕は反グローバリゼーション運動の批判者だったし、彼らは僕の批判者だった。でも一つこの運動について尊敬できる点は、彼らの真正のエネルギーだ。それは世界について憂慮していない人にはないものだね。でも、もし貧乏な人々を助けることにエネルギーを注ぎ込もうと思ったら、もっともいい方法はマクドナルドの窓に石を投げつけることや、世界銀行の会合をじゃまする事じゃないと、僕は信じているよ。それは「ローカル・ガバナンス」を通じて行える。ローカル・ガバナンスを向上させようし始めたときに、教育、女性の権利、交通といったものも向上できるんだ。)。彼我の「ローカル・ガバナンス」の定義には齟齬がないことを祈りたいところだ。
 ちなみにフリードマンが問題にしている「世界を水平にする10の要素」が、1)ベルリンの壁崩壊、2)ネットスケープの新規上場、3)ワークフロー・ソフト(PayPalからVPNまで)、4)オープンソースLinuxなど)、5)アウトソーシング(特にインド)、6)オフショアリング(特に中国)、7)Supply-chaining*2ウォルマートなど)、8)Insourcing(FeDex)、9)In-forming 、10)Wireless、だそうな。いくら「もし貧乏な人々を助けることにエネルギーを注ぎ込もうと思ったら」とか言ってみても、そういうことにまったく関心がないのが見え見えなチョイスだ。

*1:ついでに言うと、マクドナルドがある国同士は戦争しないという、所謂「マクドナルド理論」の提唱者として有名である。

*2:意味がないのでカタカナ化中止