STS Network Japan2008年度、冬のシンポジウム 変遷する「正常」


科学技術の急激な進歩は、我々の心や体における《正常》という概念に、大きな変化を与えようとしています。新春を飾るSTS Network Japanのシンポジウムでは、現代社会で揺らぐ《正常》の姿を、医療人類学や脳科学、医療社会学などの多角的な視点から検討していきたいと思います。

現代社会において、科学技術が体や心の様々な機能に介入する可能性を高めるなか、治療を超えて肉体的・知的能力を増強するようなかたちでの身体への関与(エンハンスメント)にまつわる問題が取りざたされ、また、科学技術が脳へと介入していくことの持つ意味が議論されるようになってきました。そのなかで浮き彫りになってきたのが、《正常》な身体・精神という前提自体が揺らいでいることです。エンハンスメントやニューロエシックスなどの概念が社会に必要とされるようになった背景とは、あるいは、広義の生命科学や技術の進歩が社会にもたらしつつある課題とは、どのようなものなのでしょうか。いま、学界や研究者集団、さらに社会は、それらの課題に、どのように向き合うことが必要なのでしょうか。

日時:2009年1月24日(土)13:30〜16:30
会場:京都大学芝蘭会館別館研修室2(京都府京都市左京区
講演者

土屋敦 氏(東京大学大学院 人文社会系研究科 グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」)
「エンハンスメント論争における“ability”概念と「医療化論」の視点」
池田光穂 氏(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
「狂気を装う:〈異常〉の権利を社会はどのようにして保全していくのか?」
美馬達哉 氏(京都大学大学院医学研究科)
「脳は増強できるか」
コメンテーター 中村征樹 氏(大阪大学大学教育実践センター)
司会 東島仁(京都大学大学院生命科学研究科)
参加費:無料。どなたでもご参加いただけます。
申し込み: 必要ありません。

会場へのアクセス:
(バス)京都駅より市バスD2のりば(206系統)、阪急河原町祇園四条京阪駅より(201系統)(31系統)、いずれも京大正門前下車徒歩2分
(電車)京阪電車神宮丸太町駅出町柳駅徒歩約10分