オックスファムのキャンペーン

Make Trade Fair - Oxfam International
 下記の情報を見つけました。大変興味深いレポートなんですが、ためしてみた感じ、Windows版のエクスプローラーじゃないと再生できないようです(Safariはダメ。FireFoxWindows版でもダメ)。それはこの手の団体のサイトとしてちょっとアレなのではないかと…。(いや、LinuxFireFoxは大丈夫だ、というならいいのかも知れませんけどね。誰か試してレポートください)。


以下のサイトで、WTOのルールの問題点をまとめた5分間のドキュメンタリー映像を5本、ご覧頂くことができます(英語)。

http://www.maketradefair.com/en/index.php?file=videos.htm&cat=6&subcat=3&select=1

 農民や労働者、ARV薬利用者のほか、オックスファムのスタッフ、バンダナ・シヴァ、途上国政府官僚などがインタビューに答えています。

 これは、TVE(Television for the Environment)というテレビ局とオックスファムが協力して、ブラジル、インド、インドネシアケニア、フィリピン、ザンビアが直面する主要な問題に焦点を当てたドキュメンタリー・シリーズを製作したものです。この番組は、各国のTVEパートナー団体も協力することで、多くの視聴者が目にすることになり、WTOで交渉に当たっている途上国の交渉担当官に、不公正な協定を拒否し、公正な貿易を求めるよう、圧力を加えることを狙って作られました。(交渉が凍結される以前のことです)

 各パートナー団体が一つドキュメンタリーを撮影し、TVEがロンドンで編集しました。その後、TVEのパートナー団体のある国で、それぞれの言語に翻訳されたバージョンが放映されました(現在ケニアにいますが、ケニアのテレビ局でも放送されています)。この番組を使うのはテレビ局だけではなく、教育機関NGO、コミュニティ団体も活用する予定です。

以下、ケニアを除く4ヶ国のドキュメンタリーの概要です。

インドネシア
 1998年に起こった東南アジアの経済危機以来、インドネシアの漁業関係者たちはそれまで漁業を支えてきた多くの補助金を失いました。これには、燃料補助金も含まれています。漁船は以前ほど遠洋まで漁に出ることができなくなり、その結果多くの漁船が近海に集中することになり、近海の魚が急速に減ってしまっています。
 これに追い討ちをかけるかのように、日本や台湾といった国がインドネシアの海や市場へのアクセスを獲得しつつあり、しかもその際に支払わなければいけない関税はたったの5%という低さです。もしWTOが今後も豊かな国をこのように支援し続けてしまったら、Yadi Mulyadiさんのような地元の漁民たちは競争できません。そして、インドネシアの海で乱獲が起きてしまう危険があります。

インド
 Begumさんと妹さんは、4頭の水牛を飼っていますが、この水牛の牛乳がBegumさんの安定した収入源となっています。インドで大きな成功を収めている酪農者組合に2年前に加盟して以来、彼女たちの暮らしは良くなってきました。Begumさんは親戚を支援し、家を立て、土地を買うこともできました。
 しかし欧州では、EUが域内の酪農家に年間150億ドルもの補助金を支払っており、この補助金が莫大な量の余剰生産物を生み出しています。国際貿易交渉では、EUと米国がインドの市場開放を迫っており、これが通れば、この補助金付けになった酪農製品がインド市場に流れ込むことになります。そうなれば、Begumさんのような農家は太刀打ちできず、収入を失うことになります。そして、インドの酪農業全体が下降してしまいます。

ザンビア
 ザンビアの町、カフエでは、つい最近までカフエ繊維が雇用と産業の中心を担っていました。しかしザンビアが1990年代初めに市場開放を強制されてから、向上は流入する安い輸入品に太刀打ちできなくなりました。
 Ruth Nyangaさんは、多くのカフエ市民と同様、職を失い、その結果生活費の支払いや家族を養うのに大変な苦労をしています。ザンビアは国内の産業を育て、発展させ、強化させるチャンスを奪われた結果、安価な輸入品に負けたのです。ザンビアの失業率は非常に高く、貧困や犯罪の率も上昇中です。


フィリピン
 Ka TolitsさんはフィリピンのNueva Ecijaに住む農民です。彼は他の農家の人々にも、WTOでの悪い協定を拒否するよう、政府にロビイすることを呼びかけてきました。WTOはフィリピンに対し、安価な外国産の輸入品に対してコメ市場を開放することを要求しています。そうなれば、地元の農家は国内市場から追い出されることになります。フィリピンの農業は衰退し、海外からの輸入品に依存せざるをえなくなります。200万人の農家とその家族が、生計を失い、フィリピンさんのコメは捨てられることになります。


ブラジル
 Fatimaさんは輸血が原因でHIVに感染しており、自分自身とこれから生まれようとしている赤ちゃんを守るために、薬の厳しい服用ルールを守らなくてはいけません。ブラジル政府は現在、名声高いエイズ対策プログラムを要しており、Fatimaさんのような人は必要としている医療を受けることができます。しかし、WTOは現在、主にEUや米国に本拠地を持つ製薬企業がブラジルに対し高価な特許薬をを輸入するように圧力をかけているのを支援しています。これがWTOで決まってしまうと、ブラジル国民の将来の健康は瓦解してしまいかねません。
 Fatimaさんは最近検診を受けましたが、Fatimaさん自身も、そして赤ちゃんも問題がないことがわかりました。しかし、もし診察や治療、医薬品購入にお金がかかっていたら、Fatimaさんはそれを支払うことができずに、妊娠するまで生き延びることもできなかったかもしれないのです。

 ※情報の転載について、不適切であったとご指摘をいただきました。映像へのリンクを残して、転載部分を削除させて頂きます。執筆者およびご覧の皆様にはご迷惑をおかけしました。

 ※※オックスファムの山田 太雲さんより転載のご許可をいただけましたので、再度掲載します。上掲の文章はオックスファムのプレスリリースかと誤解していたのですが、山田さんが個人的に執筆したものであるとのことでした。著作権などは山田さんに帰属しますのでご注意ください。